MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第36話

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・・・ギィィン!!

ヒュ-キャストの鎌とジッちゃん大剣が激しく撃ちあう
その様はスピードのサイズ、パワーのソードといったところで

・・・キン!キン!キン!キン!キン!キン!

手数の多さは圧倒的に紫のヒュ-キャストなのだが

 「どりゃぁぁぁ!!!」

・・・ガギィィン・・・!!

ジッちゃんの攻撃は一撃でヒュ-キャストを退かせる

 『ククク…鬼の剣は健在か…だが…』

・・・ガッ・・・!

 「…くっ…ごほごほごほ……このポンコツな体めが…!」

ジッちゃんは大剣を杖代わりに身体を支え苦しそうに咳き込む

 『身体の方は老いと病に耐えかねたようだな?
  …今楽にしてやるぞドノフ・バズ!!』

ヒュ-キャストはジッちゃんにトドメを刺そうと鎌を振り上げる

 「とっとっとっ!そりゃマズイって!」

アタイは慌てて止めようとヒュ-キャストに銃を向けたが

 『ムッ!?』

・・・ゴォォォォン・・・!!

それよりも先に紫のヒュ-キャストは飛んできた炎弾に包まれた

 「うわっ!?ナイスだけどいったい何処の何方?」

炎の飛んできた方向を向くと其処には
斜めに走る大きな傷痕を持った紅いシノワベリルが立っていた

 「おんやぁ~あのガン○ャノン機能停止したと
  思ったらまだ稼動できたんだ」

それでも相当なダメージはあったらしく
ぎこちない動きでこちらに腕を向けてくる

 「せめてIフィールドが壊れてりゃいいんだけどな」

・・・カチャ・・・

今度はベリルの方へとアタイは銃口を向ける

・・・バシュゥゥゥンッ・・!!

 「おわーー!?」

だがその引き金を引く前にヒュ-キャストを
包んでいた炎が突然、弾け飛んだ

 『…ガラクタが…俺の邪魔をするかッ!?』

・・・・ビリビリビリビリビリ・・・!!!

 「こ…恐ッ!?」

恐ろしいまでの殺気が辺りを支配しアタイはすくみあがりそうになる

 『…オン…!』

・・・ジャキィィン・・・!!


紫のヒュ-キャストは高速で動くと
紅いベリルを斬りつけながら背後に回り込んだ

 『アリミタ』

・・・ギィィン・・・!!

 『テイセイ』

・・・ガァァァン・・・!!


紫のヒュ-キャストは一瞬しか目に捉えられないほどの
動きで次々と紅いベリルを斬り裂いていく

 『…カラウン…!!』

・・・バキィィィィィ!!!


強烈な破壊音と共にズタズタに斬り裂かれたベリルの身体は
腕も足ももげ色からしてまさにダルマのように転がっていた

・・・ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン・・・!!

姿を現したヒュ-キャストは己の頭の上で柄の中心を軸に
両手でフォトンサイズを旋回させる

 『塵も遺さず…』

・・・ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン・・・

 『…消え失せろ!』

・・・バシュゥゥゥゥゥ・・・!!

遠心力で倍加した斬撃がベリルに振り下ろされた・・・が!

・・・ヒュルヒュルヒュルヒュルヒュル・・・カチン!

何処からか回転して飛んできた一枚のカードような物が
ベリルに刺さると次の瞬間

・・・キィィィィィン・・・・!

ベリルの身体は突然、輝きだすとと
吸い込まれるようにカードの中に消えてしまった

・・・ズバァシュゥゥゥン・・・!!

振り下ろされた破壊の斬撃は消え失せた標的の
替わりに足元のギャランゾを斬り裂く

・・・シュゥゥゥゥ~・・・・

・・・ヒュルヒュルヒュルヒュルヒュル・・・パシッ!!

 『…貴様…』

相手は違えど予告どおりに標的を消失させたヒュ-キャストは
再び飛んでいったカードの方向を睨む

 『アークズではないな…?』

そこには黒い金属製の外套に身を包んだ人物が
飛んできたカードを指に挟み立っていた


…ねぇねぇ…なんか最近のアタイの役回りって…
……ギャラリーていうか虎○、○樫って感じじゃない?


・・・ジャキ・・・

 『何者だ?』

ヒュ-キャストは武器を構えなおし新たに現れた人物に向く
その人物の格好は…なんというか…
拷問機具の鉄の処女を連想しちゃうね

 「………」

その人物はヒュ-キャストの問いに答えず黙っている

・・・ガッ・・・!!

答えぬ人物に向かってヒュ-キャストは
足元のギャランゾを蹴り容赦無用に飛び掛かった

 「………」

外套の人物はゆっくりと襲撃者のヒュ-キャストの方を向くと

・・・ガシャン!!

突然外套の前が開き

・・・ジャキン!ジャキン!ジャキンジャキン!ジャキン!

外套が変形してくと

・・・ガシャン!!

背にまわり翼のような形となる
外套の外れたその姿は…

 「…真っ黒な…ヒュ-キャスト…?」

とアタイは思ってしまうような姿だった
そのヒュ-キャストは左腕の端末を操作すると

・・・シュイン・・・!

手首の辺りから数枚のカードが飛び出してきた
そしてそのカードを掴むと

・・・シュッ・・・シュッ・・・シュッ・・・

腰の辺りについているカード-リーダーのような所に通した

 『…SET…』

合成音のような声が響くと

・・・バシュン!・・・バシュン!・・・バシュン!

電子的な光と共に

 『グワァァァ・・・・!!』

 『グオォォォ・・・!!』


見たことの無い赤い顔と青い顔の巨大な猿のような生物が現れ

・・・ガシャン・・・・!!

それと共に真紅のシノワベリルが再び現れた

 「ホルグラフ…?」

アタイはその現象が人工的な立体映像化と思ったが

 『グワァァァ!!』

・・・ゴッ・・・!


猿の一匹が紫のヒュ-キャストに殴りかかり
黒いヒュ-キャストに襲い掛かるのを止めた

 『妙な手品を使うな…』

猿の拳を避けた紫のヒュ-キャストは間合を取り呟く

 「…ふむ…これはチャンスかな?」

アタイはコソコソと大剣のジッちゃんに近寄り

 「…ジッちゃんこの隙にトンズラしようぜ…(ボソボソ)」

ジッちゃんに肩を貸す

 「重いから剣はしまっちゃうよ」

・・・バシュ・・・!

アタイは巨大な大剣を赤いレアキューブに変える

 「す…すまんな…ごほごほ…」

 「困った時はお互い様」

そうしてその場からコソコソと逃げ出そうとすると

 『ムッ…逃さんぞドノフ…!』

こちらの動きに気付き紫のヒュ-キャストが振りむこうとするが

・・・チュン!チュン!チュン!!

 『…クッ…!?』

・・・キン!キン!キン!

アタイはクイックドローで紫のヒュ-キャストを撃つ
あっさりと武器で弾かれたけどね、でもそれで充分だった

 「ほらほら後、後、危ないよおっかない旦那」

 『!』

 『グォォォ!!』

・・・ガァァァン!!


近づいて来た大猿の拳がヒュ-キャストをかすめる
その隙にアタイとジッちゃんはすたころ逃げ出していた・・・・・


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